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「検査・点検ロボット運用モデル検討会」が中間報告書を発表

「検査・点検ロボット運用モデル検討会」が中間報告書を発表

~船舶でのドローンを含むロボティクス活用を業界横断で検討~

この度、エアロセンス株式会社(所在地:東京都文京区、代表取締役社長:佐部浩太郎、以下エアロセンス)が参加する、船舶の検査・点検業務におけるロボティクス活用に向けた業界横断の取り組みとして発足した「検査・点検ロボット運用モデル検討会」は、2020年中の検討成果を中間報告書として発表しました。この中間報告書では、ロボティクスの有効活用に向け、利用する側の海事業界関係者のニーズ、開発する側のロボティクス関連企業が有する技術のシーズを整理し、今後の検討対象を絞り込んでいます。

 

ドローンに代表されるロボティクスによる検査・点検業務は、作業者の安全確保や省力化、精密度の向上、また新型コロナウイルス感染拡大をふまえた遠隔利用への期待などから、様々な分野で検討が進んでいます。高所や狭小空間が多い上、移動範囲が世界中となる船舶についても、検査・点検業務へのロボティクスの有効活用が期待されている所です。エアロセンスは、自社の保有するドローンやAIなどのロボティクス技術を活用した船舶の検査・点検業務への貢献を目指して、この検討会に参加しています。

 

「検査・点検ロボット運用モデル検討会」は船社、修繕ドック、検査事業者、舶用機器メーカー、ロボティクス関連企業、研究機関、船級協会をメンバーとして、2020年8月より活動を開始しました。船舶でのロボティクスの有効活用には、個社を超え、業界としての協調領域を構築する必要があるとの課題認識の下、関係者の議論を通じ、ロボティクスの標準的な運用モデルの確立を目指しています。検討会の活動は2021年7月までを予定し、①ロボティクスに関するリテラシー向上を目的とした情報交換、②海事業界においてロボティクスを商用利用できるためのコンセプトの検討、③検討会での議論をふまえた概念実証の実施に取り組んでいます。

 

この度発表した中間報告書では、ロボティクスを利用する側である海事業界関係者(船社、修繕ドック、検査事業者、船級協会)の検査・点検、入出渠(船のドックへの出入り)、離着岸、修繕・改造工事、計測など、各々の業務におけるロボティクス技術への約50件のニーズ、及び、開発する側のロボティクス関連企業5社が有する技術のシーズを整理し、今後の検討対象の絞り込みに至った内容をまとめています。この報告書は以下リンクに掲載しています。

 

https://www.classnk.or.jp/classnk-rd/report/2017/013.html

 検討会では、今後の検討対象として挙げた①ドローン(船内飛行、船外飛行)、②配管点検ロボット、マグネット式ロボット、ROV等(ドローン以外のロボット)、③ステークホルダー間の情報共有について、さらに具体的な検討を進めることとしており、船舶の検査・点検でのロボティクス活用による安全性向上への貢献に努めます。

 

エアロセンスは、今後の船舶の検査におけるロボティクスの活用拡大のため、高品質、高精度、安全性に加え、より早く簡単に検査が行えるよう、屋内外における自律飛行ドローンの技術革新を進め、本検討会を通じて、検査現場での最適なドローンを目指してまいります。

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図1:今回の船外飛行実験で使用した、エアロセンス製のドローン(エアロボ:Aerobo)

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図2:今回の船外飛行実験で使用した、エアロセンス製の対空標識(エアロボマーカー:Aerobo Marker)

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図3:エアロボが上空から撮影している様子


「検査・点検ロボット運用モデル検討会」メンバー(2021年1月末現在)

船会社/船舶管理会社 川崎汽船株式会社、株式会社商船三井、エム・オーエル・シップマネージメント株式会社、日本郵船株式会社、NYK SHIPMANAGEMENT PTE LTD
修繕ドック ジャパン マリンユナイテッド株式会社因島工場、株式会社三和ドック、常石造船株式会社
検査事業者(板厚計測業者、非破壊検査等) サンキマリンサービス株式会社、テクノス三原株式会社
舶用機器メーカー BEMAC株式会社
ロボティクス関連企業 エアロセンス株式会社、株式会社A.L.I. Technologies、 株式会社日立システムズ、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク、東京電設サービス株式会社
研究機関 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所
船級協会 一般財団法人日本海事協会
オブザーバー 国土交通省、株式会社シップデータセンター
非GPSなどの環境下で自動飛行!危険な現場はドローンにお任せ

非GPSなどの環境下で自動飛行!危険な現場はドローンにお任せ

飛島建設 様

“己の利を計らんと欲せば己の利を後とし、これを犠牲としてまず相手の利を計れ。相手に提供した自分の犠牲は己の努力と創意工夫をもって補え。これが自他共に繁栄し、ひいて究極は必ず己の利となる結果をもたらす。“という利他利己の創業精神のもと、お客様満足を常に追求され、防災・減災技術のさらなる進化を通じて安全で安心な社会づくりに貢献されている”New Business Contractor“である飛島建設株式会社様と、2020年8月29日から30日、GPS等の電波の入らない非GNSS※環境下のトンネルで自動飛行によるオルソ画像と3D点群作成に取り組みました。(※Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム、GPS等の衛星測位システムの総称)

トンネル工事では大型の重機を使用するため、人と接触した際は重大な事故となり得る危険な現場です。そんな現場で掘削状況を確認するのも簡単ではありません。通常、GNSS電波による自己位置推定ができない屋内の現場でドローンを飛行させるには、オペレーターによる高度な技術が求められます。エアロセンス株式会社で開発している新たな点検ドローン、エアロボインスペクション(Aerobo Inspection)は、非GNSS環境下でも自動飛行を行い指定された範囲をオペレーターの技術によらず飛行をし、写真を撮ってくることができました。今後はトンネル内での飛行はもちろん、GNSS電波の入りにくい建物の付近など様々な現場で人々の安全な社会に貢献してまいります。

 

飛行時の様子

飛行当日は切羽付近の壁面を自律飛行で空撮しました。トンネル内にあるロックボルト間の距離を計測したところ、3D点群で測定した距離間の誤差も小さく、実寸に近い形でデータを取ることができました。

さらに、カメラをドローン本体の上部に搭載して切羽方面に向かい動画撮影も行い、自動飛行もマニュアル飛行もできることを確認しました。

トンネル内の照明だけでなく、機体にも照明をつけて安定した飛行を行い、トンネル点検に有効活用可能なオルソ写真と3D点群を作成しました。

飛行時のカメラ映像は、別室にて実証実験を見守る関係者にも配信を行い、エアロボウイングのカメラの空撮映像をリアルタイムでご確認いただきました。

弊社クラウドで作成した3D点群

弊社クラウドで作成した3D点群

弊社クラウドで作成した壁面のオルソ画像

使用後のご評価 技術研究所 研究開発グループ第一研究室 勝部様:

3D点群の積極的な活用を視野に各種開発を進めている中で、エアロセンス様には、南三陸町の震災復興事業でのエアロボ測量を実施していただいた縁もあり、トンネルでの自動航行や出来形測量に繋がるトンネル内3D測量の共同検証の声がけをさせていただきました。

トンネル坑内は、非GNSS環境であるというだけでなく、各種重機が配置されることによる狭さや風管による局所的な風など、ドローンにとっては厳しい空間です。

このような条件下においても、安定した飛行をしており驚きました。今後も協力関係を継続できたらと考えています。よろしくお願い致します。

エアロセンスからドコモ様へ

この度は、トンネル内でのドローン活用について共同検証させていただきました。初めての経験となる掘削中のトンネルでの飛行ということで、緊張しましたが現場の皆様に温かく迎えていただき、実験を成功することができました。心よりお礼申し上げます。

トンネル内が想像していたよりも非常に明るく、機材も整頓されており、驚きの連続でしたが、本現場で確認できた課題や、飛島建設株式会社の勝部様から頂いた現場ニーズをくみ取り、非GNSS環境対応点検ドローン、エアロボインスペクションの改良を進めてまいります。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

 

本インタビューに登場する製品の情報はこちら

GPS等の電波の入らない環境下で自動飛行ドローンによるトンネル点検を実施。 これまで困難だった屋内点検の自動化を実証

GPS等の電波の入らない環境下で自動飛行ドローンによるトンネル点検を実施。 これまで困難だった屋内点検の自動化を実証

この度、エアロセンス株式会社(所在地:東京都文京区、代表取締役社長:佐部浩太郎、以下エアロセンス)の開発している、GPS等の電波の入らない環境で自動飛行可能な非GNSS※環境対応点検ドローン、エアロボインスペクション(Aerobo Inspection)が、飛島建設株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長:乘京正弘)と共同で、2020年8月29日から30日に同社施工中のトンネル工事現場において、掘削中のトンネル内での自動飛行と撮影を行い、トンネル点検に有効活用可能なオルソデータと3D点群データを生成しました。(※Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム、GPS等の衛星測位システムの総称)

トンネル工事は大型の重機を使用し人と接触した際には重大な事故となる危険な現場です。人が掘削状況を確認する際でも細心の注意が必要なため、ドローンの活用が期待されています。通常の自動飛行ドローンではGNSS電波の届かないトンネル内では自己位置推定ができないため、高度な操縦技術が必要ですが、今回の飛行では決められた範囲を自動飛行することができました。今後は危険な場所をドローンが自動飛行をすることで、人に代わって安全で簡単に状況を確認することが期待されています。

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図1:トンネル内点検の様子

【従来のドローンで困難だった屋内での自動飛行を実現】

 従来のドローンでは非GNSS環境下の現場では、ドローンの自己位置推定や方位推定が困難なた自動飛行を行うことができず、データを取るには熟練のドローン操縦者の高度な操縦技術が必要となる属人的な作業でした。今回開発した点検ドローン、エアロボインスペクションでは現在、非GNSS環境下でも自動飛行が可能な機能、性能を有しています。

 機体はGNSSの代わりにカメラで撮影された映像から環境の3次元情報と機体の位置姿勢を同時に推定するVisual SLAM技術によって、機体の自己位置、向きを認識しています。さらに屋内の点検用途のための高輝度照明を搭載しており、十分な明るさの写真から、点検対象のオルソ画像や3D点群をつくることができます。

【点検結果のデータ生成を大幅に効率化、コスト削減】

 従来は、非GNSS環境下での空撮写真を撮る過程も大変でしたが、空撮後も専用のパソコンを一つ占有し何時間もかけてオルソ画像を生成する必要がありました。そこで、この度の点検対応をした当社製クラウドサービス、エアロボクラウド(https://aerosense.co.jp/aerobocloud)を使用することで、既存ソフトに比較して簡単な操作で、かつ半分以下の処理時間でデータ生成までを実行できます。データの生成に必要な作業は写真をアップロードして計算開始ボタンを押すだけで、自動でオルソ画像や3D点群が生成されます。エアロボクラウドは、高速処理や簡易な操作により工数削減できることに加え、日々、追加コストなしに機能の改善・追加も行われ、導入コストからランニングコストまでのトータルの費用削減を実現できます。

【さまざまな点検に必要なカスタマイズに対応】

 点検に必要な機能は各点検対象、環境に応じて、多岐に渡りますが、エアロセンスではハードウエアから制御ソフトウエア、クラウドサービスまでを、自社開発しているため、それぞれの点検対象に応じたカスタマイズを可能としています。お客様の必要とする点検に合わせて、データを取得するドローン側のセンサー、カメラなどのペイロードや照明システムなどへの対応、データ処理側のクラウドシステムでのディープラーニング技術や各種処理への対応することで、今後、多くの要望を頂いている建設分野を始めとする点検のニーズに対応して世の中の課題に貢献してまいります。

エアロセンスの非GNSS環境対応点検ドローン、エアロボインスペクション(AEROBO INSPECTION)の特徴

  • GNSS電波なしで屋内での自動飛行が可能

  • 地磁気センサに頼らず飛行することで磁化した環境にも対応

  • 簡単操作の操作端末で高度な操縦技術が不要

  • APS-Cセンサーを搭載したジンバルカメラ搭載

  • 高輝度照明を搭載可能で暗所でも飛行、データ取得が可能

  • ペイロードのカスタマイズが可能

  • LTEなどの通信拡張が可能

  • 衝突回避機能を搭載

  • クラウドでデータ生成を大幅効率化、コスト削減


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図2:トンネル壁面の3D点群

図3:トンネル壁面の縦断面オルソ画像.jpg
図3:トンネル壁面の縦断面オルソ画像




自律飛行ドローンを用いた船舶貨物艙内検査の実証実験を実施

自律飛行ドローンを用いた船舶貨物艙内検査の実証実験を実施

~GPS等の電波の入らない暗闇の環境での自律飛行による検査手法を確認~

この度、エアロセンス株式会社(所在地:東京都文京区、代表取締役社長:佐部浩太郎、以下エアロセンス)と一般財団法人日本海事協会(所在地:東京都千代田区、代表:坂下広朗氏、以下日本海事協会)が、自律飛行ドローンを用い、甲板下にある貨物を積む船艙内における船舶貨物の検査(艙内検査)の実証実験を行いました。

 

エアロセンスは、GPS等の電波の入らない環境で自律飛行可能かつ暗所対応可能な非GNSS(※1)環境対応点検ドローン、エアロボインスペクション(Aerobo Inspection)を開発しました。そして、このエアロボインスペクションを用いて、船舶及び、船舶を模擬した暗所屋内にて、予め設定しておいた経路を元に自律飛行にて撮影を行い、船舶の検査に有効活用可能な写真データを取得し、3D点群データ及びオルソ画像を生成しました。この機体には、GNSSの代わりにカメラで撮影された映像から環境の3次元情報と機体の位置姿勢を同時に推定するVisual SLAM(※2))技術を用い、さらに、高輝度照明を搭載しております。(※1:Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム、※2:Simultaneous Localization and Mapping)

 

日本海事協会は、100年以上に及ぶ船舶での検査の経験を活かし、自律飛行ドローンの検査への適用の実現性に関するレビュー並びにドローンを用いた検査ワークフローの分析を行いました。

 

  • 船舶内での検査現場の課題

 船舶内での検査現場は一般に以下の3つの課題があります。

① 高所、狭所、屋内での検査

② 暗所での検査

③ 地磁気の問題

 

高所、狭所、屋内の検査

 船舶内の検査の現場では人手と時間がかかっていました。人が確認する際でも危険な場所も多く細心の注意が必要なため、無人で検査ができるドローンの活用が期待されています。通常の自動飛行ドローンでは屋内のGNSS電波の届かない環境ではドローン自身の位置の認識(自己位置推定)ができないため、一般には高度な操縦技術を持つパイロットが必要です。しかし、今回の共同開発では、GNSS電波の入らない環境でも自己位置推定が可能なドローンを用いて、飛行経路を事前に決め手入力しておくだけで、完全に自動で検査を完了することが確認できました。今後は人が検査を行うのが困難な高所や狭所などを、検査用自律飛行ドローンが代行することで、安全で簡単に状況を確認することできるようなります。

 今回開発した検査用ドローン(エアロボインスペクション)では、非GNSS環境下でも自律飛行が可能な機能、性能を有しています。この機体は、GNSSの代わりに、複数方向から撮影したステレオカメラ映像から、環境の3次元情報と機体の位置姿勢を同時に推定するVisual SLAM技術によって、機体の自己位置、向きを認識しています。

 

暗所の検査

船舶内は照明がつけられない暗所も多く、暗所の中で検査作業が行えることがロボットを用いた検査の重要な要件でした。この度、機体に高輝度照明を設置し、機体のバッテリーから100W供給することで、予備電源なしに、検査用のカメラ並びに、Visual SLAM用のステレオカメラに必要な光量を確保できることが確認できました。実際に機体の照明のみでVisual SLAMにより自律飛行、障害物検出を行いながら、全自動での検査対象の撮影を行うことが確認できました。

図1_照明がない環境での環境(左).png図1_機体の高輝度照明をつけたときの周囲の環境(右).png

図1:照明がない環境での環境(左)と機体の高輝度照明をつけたときの周囲の環境(右)


図2_自己照明とVisual+SLAMで完全自律飛行しながら検査している状態.png

図2:自己照明とVisual SLAMで完全自律飛行しながら検査している状態

 

動画: Aerobo Inspection on Dark site with vSLAM and Light (Aerosense Inc.)

動画URL: https://youtu.be/Ov9YtEqZpbI


図3_暗所の中、その場で取得した壁面データを確認.png
図3:暗所の中、その場で取得した壁面データを確認

図4_使用したエアロセンス製、非GNSS環境対応自律飛行ドローン(エアロボインスペクション).png

図4:使用したエアロセンス製、非GNSS環境対応自律飛行ドローン(エアロボインスペクション)

100W高輝度照明とAPS-Cサイズセンサーを搭載したジンバルカメラを搭載


地磁気問題の解決

 ドローンを用いる際の特有の問題として地磁気問題がありました。一般に、ドローンは地磁気を用いて向きを認識しますが、船舶のような鉄の塊の中は地磁気が安定せず、自動飛行や簡易操縦ができません。

 今回はVisual SLAMを使うことで地磁気問題を解決しており、その確認のため、実際の船舶の高所での自律飛行実験を行いました。通常、ステレオカメラを用いたVisual SLAMの場合、対象物との距離が離れると精度が低下するため、高所での自己位置推定が不安定になることがあります。しかしながら、エアロセンスが開発したドローン(エアロボインスペクション)を用いた場合は、船舶内の高所を想定して設計されているため、GNSS電波の入らない状態でも安定して自律飛行することができることが確認できました。Visual SLAMを用いることで地磁気センサーも必要とせず、船舶の検査においても、極めて安定して作業を行えることが確認できました。


図5_非GNSS環境下で高所を自律飛行している様子.png
図5:非GNSS環境下で高所を自律飛行している様子


図6_高度な操縦スキルを必要とせず、簡単操作で奥まった箇所を検査している様子.png
図6:高度な操縦スキルを必要とせず、簡単操作で奥まった箇所を検査している様子



動画: Autonomous Surveying ship cargo hold with vSLAM drone by Aerosense Inc.

動画URL: https://youtu.be/KbcruMZHyls

 
  • VISUAL SLAMを採用する優位性

 GNSS電波の入らない環境でドローンが自律飛行をするためには、IMUと呼ばれる慣性センサーだけでは誤差が大きくなってしまうため、位置情報の補正のためにGNSSに代わる自己位置を認識するセンサーが必要になります。

一般に自己位置の認識には

• 画像によるビジョンセンサーを用いる方法

• LiDARなどのレーザー測距計を用いる方法

• 外部からのセンシングにより位置情報を機体に送る方法

などが存在しますが、本実験ではビジョンセンサーとしてステレオカメラによるVisual SLAMを採用しています。ビジョンセンサーを使うことにより、安価で且つ小型軽量な機体にシステムを統合する事が可能です。検査用途に求められる要件として小型化は重要な要素になります。また、特徴点があれば、平面の続く場所でも自己位置の特定ができることも利点です。Visual SLAMの短所である暗所での運用は、独自の100Wの照明システムを搭載することで解決しています。


表1_自律飛行のためのセンサーの種類と長所・短所.png
表1:自律飛行のためのセンサーの種類と長所・短所


  • ドローンによる検査ワークフロー

 開発したドローン(エアロボインスペクション)を用いた船舶検査のワークフローは以下の流れになります。

① ドローンを用いて検査対象を撮影

② 撮り逃しや撮影状態の良し悪しを、現場で簡易ツールで確認

③ データ処理用のクラウド(エアロボクラウド https://aerosense.co.jp/aerobocloud )を用いて3次元点群、オルソ画像を作成

④ 検査員の見やすい形で詳細確認

⑤ 検査調査報告書の作成

図7_エアロボインスペクションを用いた検査ワークフロー.png
図7:エアロボインスペクションを用いた検査ワークフロー


今回、エアロボインスペクションにより、この検査フローを手間、コストを掛けずに行えるようにする技術が確立できました。

 今後、自動化を進めることで船員だけで主な検査作業を行えるようにするなど、海事業界のさらなる発展のための開発を進めてまいります。


補足

  • エアロセンスの非GNSS環境対応検査ドローンシステム(エアロボインスペクション)の特徴

① Visual SLAMによりGNSS電波なしで屋内での自律飛行が可能

② 高輝度照明を搭載し暗所でも明るく照らし、飛行、データ取得が可能

③ 地磁気センサに頼らず飛行することで磁化した環境にも対応

④ 簡単操作の操作端末で高度な操縦技術が不要

⑤ APS-Cセンサーを搭載したジンバルカメラ搭載

⑥ Edge Computer搭載でペイロードのカスタマイズが可能

⑦ LTEなどの通信拡張が可能

⑧ 衝突回避機能を搭載

⑨ クラウドでデータ生成を大幅効率化、データの共有、遠隔利用

検査に必要なドローンの機能は、各検査対象や環境に応じて多岐に渡りますが、エアロセンスではハードウエアから制御ソフトウエア、クラウドサービスまでを自社開発しているため、それぞれの検査対象に応じたカスタマイズを可能としています。お客様の必要とする検査に合わせて、データを取得するドローン側のセンサー、カメラなどのペイロードや照明システムなどへの対応、データ処理側のクラウドシステムでのディープラーニング技術や各種処理への対応することで、今後、多くの要望を頂いている検査分野のニーズに対応して世の中の課題に貢献してまいります。

 
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