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防災・災害対策

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【講演会レポート】危機管理産業展 代表取締役社長 佐部浩太郎「発災後の新しいドローン活用 状況確認から復旧支援まで」(後編)

【講演会レポート】危機管理産業展 代表取締役社長 佐部浩太郎「発災後の新しいドローン活用 状況確認から復旧支援まで」(後編)

エアロセンスは、10月11日から13日まで東京ビッグサイトで開催された危機管理産業展に出展。有線ドローンの「エアロボオンエア」を展示し、災害時のドローンを活用したソリューションについて紹介しました。

開催期間中の10月12日、会場で代表取締役社長 佐部浩太郎による講演を実施。災害時のドローン活用について関心が高まる中100名近い来場者の方々が参加され、熱心に耳を傾けました。レポートの前編ではエアロボウイングを活用した災害ソリューリョンについてご紹介し、今回は後編をご紹介します。

災害発生後に発生する課題と、その解決に有効なドローン

前編では、災害時の確認目的でドローンを活用する際、マルチコプター型の性能の課題、それを解決に導くことができる固定翼ドローンのエアロボウイングについて紹介しました。エアロボウイングを活用し広域の被害の全容を確認後、今度はそれぞれの場所に特定した被害の詳細の確認や、その経過観察が必要となります。また、被害者が存在し救助活動が必要な場合、現場の情報をいかに迅速に、継続して伝えられるかが課題となります。

災害対策センターでは現場の情報をリアルタイムで確認する必要があるため、災害現場の状況確認を担う担当者がいかに情報を正確に災害対策センターに伝えるかが早期復旧へのカギとなります。現場の撮影をドローンで行う場合、ドローンで撮影した画像を取り込みメールに添付し送信するような方法では、対応が遅れる原因にもなりかねません。

長時間飛行・高画質撮影が可能なドローンによる、リアルタイムの現場確認




このような場合、有線ドローンが有効です。当社が開発した有線ドローン「エアロボオンエア」は地上の電源管理システムから光複合ケーブルを通じて電力を供給し、撮影した高画質の映像の転送を可能としたシステムです。





エアロボオンエアは上空100mまで飛行が可能で、高さや飛行位置を調整する際は自動でケーブルを繰出、巻き取りを行います。ケーブルが届く範囲のみ飛行が可能であるため広範囲の移動はできませんが、当機に搭載したズームレンズで撮影した高解像度の映像データを複合ケーブルの光ファイバーを介して転送することができます。例として災害が発生した際、ズームイン・アウトを操作しながら市役所の屋上から市内全域を高解像度の映像で状況を確認したり、被害を受けた現場で飛行させ、映像で状況確認を行うことが可能です。また、バッテリーを交換する必要がないため、長時間運用できることも大きな特徴です。

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有線ドローン「エアロボオンエア」から撮影した画像


最近、5Gの高速回線やスターリンクなど、低軌道衛星を活用した通信が一般の方々にも利用できるようになりました。災害発生後、携帯電話の基地局が被害を受けた場合は通信が利用できなくなることがありますが、衛星通信は災害の被害を受けないため災害時には非常に有効です。そのため、災害現場の情報を衛星を介したインターネットを経由し対策本部にリアルタイムで転送する方法は、災害時に有効です。

災害現場でのさらなる活用を目指し、車載運用が可能な有線ドローンによるソリューションの提案

当社では、災害現場でエアロボオンエアと低軌道衛星通信システムを組み合わせた車載運用のドローンソリューションを提案する体制を整えています。大容量の電源、ケーブルの巻き取り機、ドローンのシステムを全て組み込んだワンボックスカーに低軌道衛星通信システムのスターリンクを搭載することで、4K映像を対策本部に転送することを可能にした中継車両としてのパッケージです。




他に、無線中継器を取り付け災害時に臨時の無線基地局としての利用や、照明を取り付け夜間の災害復旧活動現場での活用など、電力を供給しながら長時間飛行できる有線ドローンの活用法は多様です。

災害現場でドローンを活用する際の課題解決が、迅速な復旧への道筋

ここまで災害時のさまざまなドローン活用についてお伝えしましたが、災害現場でドローンを活用するには多くの課題もあります。

まず、災害時の状況確認の際に誰がドローンを運用するか。各市町村の役所の方が運用することがベストではありますが、ドローンのオペレーションを担う専門の担当者を割り当てたり、部署を構えることは容易ではありません。そのため、ドローンのオペレーションを担う企業との提携や協力を得て常に運用できる体制を整えておくことの検討をされることをお勧めします。

他に、飛行許可の申請についてです。目視内飛行の場合許可申請は不要ですが、目視外では許可申請が必要になります。年間で飛行許可の包括契約をし、パイロット、機体を申請し、いつでも飛行ができる体制を整えておくと良いでしょう。

実際、災害時にドローンを活用するケースは増えています。2021年に熱海で発生した土砂災害の際、多くの企業や自治体がドローンを利用したため現場は混乱状態だったようです。1台のドローンで取得したデータを共有できれば複数のドローンを飛ばす必要がないので、データの利活用も課題です。しっかりデータを集約し、皆が利用できるようにする仕組みやルール作りも必要でしょう。

災害時、積極的なドローンの利活用を

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これまで述べた通り、災害時の点検や状況確認において、ドローンの活用は非常に有効です。利活用においてはまだ課題は多いものの、積極的に利活用を進めていくことで解決法も同時に生まれてきます。

VTOL型ドローンは長距離・広範囲の状況確認ができ、有線ドローンは長時間利用が可能となるなど、災害時の状況に応じて役に立つ使い方があることを覚えていただければ嬉しく思います。

【アーカイブ配信】ドローンを活用した 「愛媛県宇和島市の罹災証明発行迅速化に向けた取り組み」

【アーカイブ配信】ドローンを活用した 「愛媛県宇和島市の罹災証明発行迅速化に向けた取り組み」

▽視聴申込はこちらのページから▽
https://welcome.aerosense.co.jp/20230912_Webinar55_Archive_01-LP-Invitation.html

セミナー概要

ドローンやAIによる画像処理技術などの新しい技術を取り入れた自治体での災害対策が期待される中、「当自治体で実際にどのように製品やソリューションを活用できるのかイメージができない」、「他の自治体の実例があれば聞いてみたい」という自治体担当者様のご要望を多く耳にします。

そこで今回は、実際に エアロセンス製ドローンと、富士フイルムシステムサービス社の罹災証明迅速化ソリューションを採用し、実現場での活用に向けた取り組みを推進されている、愛媛県宇和島市の山下様にメインスピーカーとして登壇いただきます。

取り組みの内容だけでなく、企画を推進していくための計画立案、予算化〜実行までのプロセスなど具体的にお話いただくため、これから新しい取り組みを始めようとされている自治体職員の方も参考にしていただきやすい内容です。

こんな方におすすめです

地方自治体で災害対策に関する業務を行っている方におすすめのセミナーです。

  • 県・市区町村の防災課、危機管理課等の方
  • 防災DXや罹災証明発行の迅速化に興味をお持ちの方
  • 自治体で新しい取り組みを推進する際の、計画から実行までのプロセスを知りたい方

メインスピーカー紹介

山下 真嗣 氏
愛媛県宇和島市総務企画部危機管理課 課長

略歴紹介

宇和島市役所入庁後、税務課(徴収、固定資産課税)、用地課(公共用地買収)、教育委員会(地区公民館)、総務課(広報紙担当)、企画情報課(電算システム、地域情報化)などを経験。現在の危機管理課の課長職で10年目。

スピーカー

 

橋本 祐次 氏
富士フイルムシステムサービス株式会社
経営統括本部 デジタル戦略推進部
ビジネスディベロップメントグループ

略歴紹介

2016年 新卒で富士フイルムシステムサービス入社
2016年~2021年 営業として住民窓口ソリューションを市区町村へ提案
2021年から現職 防災・減災DX 罹災証明迅速化ソリューションを地方公共団体へ提案

 

今井 清貴 氏
エアロセンス株式会社 事業統括部
セールスユニット VTOL プロダクトマネージャー

略歴紹介

前職では、外資系カメラアクセサリー会社にて営業に従事。 業務の中でドローンに興味を持ち、その後エアロセンス株式会社に入社。
現在エアロセンスでは、エアロボウイング(AS-VT01)のプロダクトマネージャーとして、 2020年の発売当初より販売やデモを担当。

▽視聴申込はこちらのページから▽
https://welcome.aerosense.co.jp/20230912_Webinar55_Archive_01-LP-Invitation.html

【講演会レポート】危機管理産業展 代表取締役社長 佐部浩太郎「発災後の新しいドローン活用 状況確認から復旧支援まで」(前編)

【講演会レポート】危機管理産業展 代表取締役社長 佐部浩太郎「発災後の新しいドローン活用 状況確認から復旧支援まで」(前編)

エアロセンスは、10月11日から13日まで東京ビッグサイトで開催された危機管理産業展に出展。有線ドローンの「エアロボオンエア」を展示し、災害時のドローンを活用したソリューションについて紹介しました。

開催期間中の10月12日、会場で代表取締役社長 佐部浩太郎による講演を実施。災害時のドローン活用について関心が高まる中100名近い来場者の方々が参加され、熱心に耳を傾けました。その講演内容について2回にわたりご紹介します。

 

災害時、自治体を中心にドローンの活用が広がる中で生じる課題

災害が発生した危険な箇所に立ち入らずにドローンで確認するということは極めて有効であるため、多くの自治体が災害時の活動にドローンの活用を始めています。一方で、使い始めるとより良く状況を確認するためには、ドローンの性能が不足していることに気付きます。

 

講演の冒頭では、発災後のフェーズを「広域状況把握」、「局所詳細確認と緊急作業」、「広域被害見積」、「復旧工事」に分け、それぞれでドローンが活躍できる余地があることを述べました。



災害直後の迅速な被災状況確認は、復旧活動を進めるための大切な初動となります。しかし、地震や水害などの災害が発生した場合、被害は広範囲におよぶだけでなく道路が寸断され人や車での立ち入りが不可となりドローンを飛行させることができないケースもあります。これにより、早く被害状況の確認をし、復旧活動を進めたいというニーズが生じるのです。

 

また、実際にドローンを用いて被災状況の確認を行う際、マルチコプター型のドローンは4つのプロペラが回転し多くの電力を消費するため平均20分程度と飛行時間が短くなります。そのため、広域の確認を行う際は飛行を終えたドローンの回収とバッテリーの交換にかかる手間、飛行のため被災した現地付近まで行く必要があるなど、マルチコプター型のドローンにはさまざまな性能上の課題が発生します。


災害発生時、広域に情報を取集できる垂直離着陸型固定翼型ドローン

これらの課題を解決するには、固定翼のドローンが有効であることを述べました。固定翼のドローンは水平飛行時に1枚のプロペラの推進力で飛行するためエネルギー効率が良く、長距離の飛行が可能であるため、一度の飛行で広範囲の確認が可能です。


エアロセンスの垂直離着陸型固定翼ドローン「エアロボウイング」は、垂直に離着陸ができるため滑走路が不要、マルチコプターのドローンと同様に操作が簡単。1キロの積載物を積み平均時速約70キロで40分間、最長50キロ飛行できるため、前述の災害時の点検目的におけるマルチコプター型ドローンの課題を全て解決できる機体であることを説明しました。



愛媛県宇和島市と損害保険会社による、防災目的の活用事例

次に、実際エアロボウイングがどのように防災目的で活用されているのか、宇和島市と損害保険会社による事例を紹介。

 

宇和島市は入江と島に囲まれ地震が発生した際は交通網が寸断されやすいため、被害状況を空から確認することが有効と判断。沿岸を飛行し被害状況をリアルタイムで確認する目的で、エアロボウイングを活用しています。

 

また、同市では2018年に水害が発生した際、罹災証明の発行に時間を要した経験から、富士フィルム社と連携し、エアロボウイングで撮影した画像をAI分析し罹災証明を迅速に発行するシステムを提供する取り組みを進めることを決定。市民の方々が安心して生活するため、エアロセンスのドローンが活躍しています。


宇和島市の沿岸部を飛行するエアロボウイング


その他、民間の損害保険会社でも災害発生後に保険金を迅速に支払う目的のニーズに対応した事例を紹介。2020年に熊本県人吉市球磨川(くまがわ)が氾濫した際、水害を受けたエリアをエアロボウイングで撮影、3Dモデルを作成し水の流れをシミュレーションすることで、被害を受けた家屋を確認し、被害を受けた方の申告内容と一致させ迅速に保険料を支払うことを可能にした事例を紹介。


マルチコプター型のドローンで約800ヘクタールの同エリアの空撮を行う場合10数回フライトを実施する必要がありますが、エアロボウイングはわずか4フライトで撮影を完了。高解像度の3Dモデルにより各々の家を拡大して詳細を確認できるため、災害発生後、迅速に広範囲のエリアの被害状況を確認することが可能です。

ここまで、災害時の確認目的でドローンを活用する際、マルチコプター型の性能の課題、それを解決に導くことができる固定翼ドローンについて紹介しました。

11月に発行するレポートの後半では、有線ドローンの「エアロボオンエア」を活用した災害ソリューションについてお伝えします。

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